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Dec.14.r6
コラム COAST TO COAST 12
coast to coast 12
column
12月のナビゲーターは
株式会社クロックアップ 代表取締役 中村公一さんにナビゲートいただきました。地域密着型のプロデュース&ブランディングカンパニーの代表として、レストラン、シェアオフィス、雑誌までプロデュースは多岐にわたり、みんなが住む青森をもっと楽しく面白いまちする、たくさんの”仕かけ”活動をされています。
今コラムではこれからの青森について未来志向なお話をお伺いしました。
―青森の現在と未来についてどうお考えですか?
コロナも終わって、2024年には青森県にくるインバウンドの方が本当に多くなりました。
そういう人たちに対して青森県にお金を落としてもらう仕組みづくりがもっと必要だと思っています。コーヒー一杯飲むにしても、大手のコーヒーショップでなく地元のコーヒー屋さんを選ぶ。みたいに地域内でお金が回っていく状態がすごく健康的です。しかし、インバウンドの方が青森で遊ぶ・食べる・泊まるにしても、大手の企業が運営している場合が多く、どれだけ旅行客が来たとしても中央にお金が流れる仕組みになっていて、青森には流れて来ていないのが現状です。
これから目指したいのは地域経済の循環です。まずは地元食材を選ぶことの定着を促しています。私たちはこれを“ローカルファースト”という表現をしているのですが、会社としてどんなことに取り組んでいるのかを発信する“クロックアップタイムズ”を毎月新聞折り込みなどで配布しています。表紙の下の欄に、当社で提供している食材や商品のうち、何割が青森産なのかを示す指標を載せていて、産食率の高さが地域経済の循環にどう繋がるのかを発信し、魅力と捉えてもらうことがクロックアップタイムズを発行し続ける理由です。
―具体的に取り組もうとしていることはありますか?
これからやりたいことが2つあります。1つめはウェルビーイング指標の活用を自治体に政策提言すること。
これは市民の暮らしやすさと幸福感を数値化・可視化するもので、全国的な指標とされ始めています。簡単に言うと市民が、精神的にも身体的にも健康な状態になるための指標です。
グラフを見ると一目で市町村の現状が分かるようになっています。例えば、青森の文化芸術に対して客観的に見た指数は100%中50、市民は70、住んでいる人は予想以上に良いと思っている状態です。
子育てに関しては客観的に高水準以上だと思われていますが、市民はそうは思っていない。
各カテゴリを定期的に見ることで、私たちの動きが市民の暮らしにどう影響するのかが分かるようになってきます。今までの政策は経験や感覚で進められたケースが非常に多かったのかもしれません。
具体的な改善策というものを測ることも出来ずに、ふんわりとした計画と結果のような形だけのものになっているのが現状です。
今後ウェルビーイング指標を用いることで政策の費用対効果が見えてきますので、これは費用に対して大きな効果があった・全然効果が無かった。というのが数字に表れるので、政策の通信簿になってくるんです。
このウェルビーイング指標を使うことによって利点が2つあって、
1つ目は市民の声が持つ力を指標ベースで変えていける可能性があることです。何かに向かって動き始めるとき必ず大きな壁にぶち当たり、為す術が無くなって市民の声を実現できず終わってしまうことがほとんどでした。そこを動かせるのは市民の声だと思います。これから「〇〇に取り組むことで改善されるのがデータで出ています。」というウェルビーイング指標をベースにした伝え方ができるので、ドアを開いていくことができます。
利点の2つ目は、これまでは観光は観光課、道路は都市政策課という形で、縦割りの仕組みで取り組んでいたまちづくりが、ウェルビーイング指標の動きで効果が明確になるため、課の垣根を超えた未来志向のニュープロジェクトを実現できる。これからの観光都市として大切な取組になります。実際にこの指標の導入までは行っていますが、活用まで至ってないので、これから活用を促していく働きかけをしています。
挑戦したいことの2つ目は、地域に特化したインフラ供給です。
ドイツのシュタットベルケという仕組みがあって、ヨーロッパでは全域で取り組んでいます。ヨーロッパは陸続きで土地が広大な分、距離の問題で送電が難しい。そこを打開するために、自治体と民間が資金を出し合った発電所を各地域に作り、電気・ガス・水道をインフラ会社で一括して供給するシステムです。地域住民に出資協力してもらって、集まった礼金は地域住民に再分配します。
今の日本はアメリカのやり方で、アメリカも土地は広いけれど都市にも郊外にも、いろんな場所から大量に送電して成り立っています。目指すべくはアメリカ型ではなく、ヨーロッパ型なんじゃないかなと思いはじめ、どちらの利点も取り入れたハイブリットで出来たらいいなと考えています。
地域の人には今の電力会社から切り替えてもらって、今の電力会社より少し安くなる。その払っているお金は街の未来のためになる。
それでも電気の切り替えは得だと分かっていても少し面倒があり、その会社が倒産したらどうしようという不安もあるため、何かもう一個付随したマーケティングはないかなと思っていました。そうしていたら最近某有名経営者さんが、電気・ガス・水道・wifiなどの販売を始めて、契約者にその会社の株を配るサービスを始めました。あ、これだ。と思いましたね。切り替えた人は株がもらえて、その会社が上場したら、上場益をもらえるという仕組み。すごくいいと思いました。これを株ではなくNFTを活用してできないかと考えています。
人・お金・エネルギーの循環として前向きな青森の春と夏。それに比べると冬はどうしても長く感じてしまう。青森でもオールシーズン、毎日の暮らしを楽しむためには、地域をサポートしたいと思える魅力を取り戻し、その資金で雪やインフラ関係の問題解決に当たっていくことが必要だと考えます。これからは他国の1年の過ごし方をもっと参考にして根本をアップデート。青森県民の冬の行動範囲が広がり、1年の暮らしのクオリティが上がり続ける社会になることを願います。
Credits : うみとひかり 夜空のMUSIC BAR
UGUISU uguisu-aomori
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